文の練習 -

Mix Tape

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もう秋ですね。10月12日で2周年になります。うっかり3周年と色んな方に言ってしまいましたが、2周年でした、すみません。ここのところ時間の感覚がおかしいです。当日は開店を飾ったクマの花輪も友人らによって衣替えさせられるようです。

少し前に母親がアラレちゃんカー…ではなく古いマーチのコンパクトカーで迎えに来てくれた時、乗り込むと

カフェオ〜レ ア〜ア〜ア〜〜
カフェオ〜レ ア〜ア〜ア〜〜
カフェオ〜レ ア〜ア〜ア〜〜
飲みたい! 飲みたい!

という音楽がシュールに流れていました。
ん?そのへんにあるカセットテープを適当に流したらしい。カセットテープか、懐かしい!よく見ると90年代に大学の友人が誕生日プレゼントとして作ってくれたミックステープでした。あの時はまだカセットテープでしたっけ。合間にガチャッとか音が入ったりして、当時はジャマに感じた雑音すら懐かしい。私はこれを聴いていた頃、クリーム色のタートルネックを着ていたことをなぜか同時に思い出します。今、カセットテープで聴きたい気分。
このミックステープを作ってくれた友人は、開店当初から店を手伝ってくれている仲間になりました。時は流れました。

古道具屋さんの間で「物が出なくなった」という話をよく聞きます。数年前までは市場で100年以上前のものもよく出ていたようですが、今ではろくなものが出ないと。私は「そうでしょうねえ」と言います。
その人の店には私が子ども時代に使っていた80年代の生活雑貨が店に並ぶようになってきました。好きなプラスチック(プラッチックとも言う)も、家にあった類いのものがちらほら。しかも前プラスチック時代のベークライトや樹脂ではなく、本当にただのプラスチックでそこそこ高い。先日も連続して見つけたプラッチック・サンドイッチ・バスケットはお気に入り。今になってよく考えてみたらこれは竹の代用品だったのだなあ、と思う。なるほどね。

昭和から平成への過渡期。あの時に舗装されていなかった砂利道はコンクリートになって、ナメクジとの戦いだったあばら屋は新築され、家の前のどぶ川は埋められた事を思い出す。もう、アレもコレもヴィンテージになっちゃったんですね。仕入れをしながら、なぜかそんな事が淋しいこの頃です。

カフェオ〜レはどのインディーズバンドの歌だったのか、ミックスした本人も覚えておりません。

あの時の「あっぷる書店」で

10月12日で1年が経ちます。当初より応援してくださった皆様、ありがとうございます。「屋台の延長のような店」などと言って未完成のまま始まったものの、店らしくないにも限度があるだろうに、と思うほどグダグダな状態で開店。まだまだ思うようにはいきませんが何とかやっております。1年前に想像していた通りになったこともあれば、まったく違う結果になったこともあり、店はつねに有機的なもの。奮闘しながらも、なかなか面白くやらせていただきました。

最近よく思い出すこと。
小学生の頃、衣笠に「あっぷる書店」という古書店がありました。当時は近所にあったので、時々ぷらりと入っては少ないお小遣いで買えそうな本を物色していました。小さな店でしたが、マンガに力を入れているのが子どもながらにも見てとれたし、今考えても不思議に面白かったというか、自分にとって魅力的なお店だったのでしょう。タレント本も多くて青島幸男の『ざまァみやがれ!』がどうしても欲しかったけれど、こんな破廉恥でデタラメな本を持って帰ると親に怒られる、と思うと怖くて買えなったことを長年後悔しており、それを今思い出してネットで注文した次第。

当時流行のマンガもあれば、店主が密かにセレクトしているような棚もあり、レジ近くには『のらくろ』の初版本や当時発売されていたキャラクターグッズや時計、レトロな雑貨が大事そうにガラスケースに並べられていました。もちろんびっくりするようなお値段なので、いつも眺めては楽しむだけ。必要でもないし、思えば好きなテイストでも無かったのに、もう、どうしようもなく「欲しいいいいい〜〜!」と思っていたりしていました。古いマンガはナントカコミックスとは違って装丁の雰囲気も規格も自由な気がして、これまた「欲しいいいいい〜!」とハンカチ噛みしめながら、初見の水野英子のマンガを手に取ると3000円。おばさんに「なんで?」と聞くと不機嫌そうに、「そういうもんやから」とだけ言われた気がします。その時にガガーン!と頭を打たれたというか、何となく、分かったような。
その時は身分不相応な買い物なので、買えませんでした。しかしその後も自分が何を好きなのかが分からず、店内をくまなく調べて、どうしても我が物にしたい!と思うものを探しに行ったもので、きっとその行為が楽しかったはず。「どうしても何かを買いたい」と思いたかった欲求が忘れられず、なぜモーレツに欲しいと思ったのか?思わせたのか?を考えずにはいられませんでした。「あっぷる書店」は高校生にあがる頃にはもう別の場所に移転してしまい、私は古本屋に通うなんてことはすっかり忘れてしまいました。

ある時から商品があって、それを作る人、売る人、買う人、消費の関係やきっかけや流れに興味があったような気もする、というのは後付けなのですが、私にとってはそれを考える場が今の店です。
店に入って気に入りそうであれば、私ならゆっくりと見たいので、あえて積極的にご説明はしていません。現代の作り手さんの作品も、古い物も、プロダクトも、海外のものも、何となく関連のありそうに、ない交ぜにして並べています。本のセレクトショップで働いていた影響からかもしれません。しかし物販としてはとても分かりにくく、売れにくい並べ方です。逆に言うと見ようとする人にしか、見えにくいつくりになってしまいました。果たしてそれで良いのか?店だから変わっていくかもしれません。でも今のKitはそんな感じです。

Kit

こんにちは。Kitは2012年秋に開店予定です。場所は生まれ育った京都の町中で。
「何屋さんですか?」と聞かれると、ジャンルを括ってないので何とも言いがたく、「いわゆる町の雑貨屋さん」と答えています。

10年近く店に立って、物を販売する仕事をしていましたが、退職した後にやっぱり「店」という場所は良いものだとぼんやりと考えていました。いつものように開店していて、誰もが気軽に入れて、新しい発見と興奮と楽しさが広がっている、そんな場所をつくりたい、といつしか思うようになっていたようです。

少し前に韓国と台湾を旅しました。いつもどこかで開かれている市場では、安くて新鮮な食糧から洋服までありとあらゆる物が売られており、朝早くから夜遅くまで活気のあること。中でも昼から一杯できるようなちょっとした屋台が多く、もっぱら食事は屋台や食堂。そして露店でもたびたび買い食い。古くても小綺麗にしていて、地元のお客さんがよく入ってそうな店を選ぶとやっぱり美味しい。それに量も多くて、安いのは当たり前。忙しく店を切り盛りする女性のテキパキとした手さばきの美しさに惚れ惚れとし、1日中元気いっぱいの愛想を振りまく逞しさにこちらもニッコリ。必ずしも必要な物ばかりではありませんが、色んな物を見たり、人に会ったり、好きな物を見つけて楽しくなる、そんな何でもない日と気分が好きです。知人から、若い人は市場には行かずにスーパーで買うようになった、と聞いて少し残念に思いましたが。

店をつくる、というのは少々大それた事のようですが、あの市場の屋台のようにシンプルに場所を見つけて物さえ並べれば、とりあえずは誰でも始められるんじゃないのか?と思ったのです。お洒落さに欠けるかもしれませんが、露店販売の続きのような、そんな店です。売り物は食べものもあるし、生活用品も、布も、ガラクタみたいな変な物も。100円のものから10万円のものまであるかもしれません。でも面白いと思ったら、それらが同じ場所にあっても良いですよね。さてどうなるかですが、そのうち開店いたします。きっと。

※屋号はそういう意味ではありません。ただの洒落です、念のため。