Kit

EXHIBITION / EVENT

2020年10月10日(土)― 10月19日(月)
作家在廊:10月10日(土)

一粒舎 革展

12:00-18:00

一粒舎

場所:Kit 2F

一粒舎は高木将吾、陶子から成る夫婦の革ブランドである。
初めて将吾さんに会った頃、彼はたいてい厚手の白ニットにベージュのパンツで、清貧な牧師的雰囲気を醸し出していた。葉山のアトリエ兼自宅はコンパクトで、簡素で、素材感が良く、すぐにこの家に住みたい!と思ったものだ。シェーカー的な暮らしの機能美の中に、ちょっとだけアジアの香りがするのも好き。李朝のソバン(一人用お膳)の復刻を試みた天板が転がっていたり、月桃で編んだ帽子が掛けられたりしている。二人の嗜好が随所に散りばめられた生活の中から作品は生まれているのだ。

今まで主に使ってきたのはイタリアの牛革。ほど良い厚みがあり、ハリはあるが、軽くて日常的に使いやすい。傷やシワが艶になっていく過程には、革ならではの嗜好品的愉しみがあり、使い込んで味が出ても立体的な形は綺麗に守られる。この風合い+かっちり感の両立は二人の世界観の基本な気がする。
最近では、日光で害獣として駆除されている鹿の革を頂戴して作ったシリーズが出来た。こちらは柔らかく、革の表情にかなり個体差がある。陶子さんのライフワークである、自然素材の帽子編みの技術を利用して編んだ巾着がある。フィリピンの魚用のビクみたいだなー、と思ったらアタリだった。奇しくも狩猟の形。山と動物と人との関係が変わり、行き場のない鹿や猪が畑を荒らしてしまうらしいが、切ない話だ。身近な生活の中で出会う素材と折り合いを付けて出来上がった作品には、民芸品のような佇まいがあり、現代的な表現だとも思うのだ。
ところで、ここ最近の将吾さんの出立ちはちょっと変わった。つば付き帽に白シャツに半ズボンで、なんだか戦後の少年みたい。コスプレだったのか...と思うとニヤニヤが止まらない。きっと好きなものをいちいち形で表す人なのだろう。そして私はそういう人を信用している。

作家略歴)
高木将吾 陶子(Takagi Shogo/Toko)
1977 年 香川県、神奈川県生まれ。
2000年東京都立職業訓練学校台東分校製靴科で学んだ後、それぞれに靴メーカー、靴修理屋に勤める。
2010 年神奈川県葉山の自宅兼工房にて “一粒舎” として主に革の鞄、靴を製作を開始。