EXHIBITIONS / EVENTS

2019年1月5日(土)― 1月13日(日)

Kitの眼

11:00 - 18:00

Kit

場所:F/style >LINK

新潟県新潟市中央区愛宕1-7-6

忘れられない光景がある。京都でのF/style展の準備の朝、新潟から瓶詰が届き、Kitの店主椹木さんが箱から出して並べている。私欲とは違う距離感と眼差しで、淡々と商品をステージに上げる背中が印象的で、プロだ、と思った。Kitは国内の作家の器や古物、韓国をはじめ海外からの生活雑貨、アクセサリー、ファブリック、チープな量産ものもあれば、珍奇な一点ものも扱うお店だが、Kitの重力空間にそれらが収まると、一見アンバランスな関係性も平衡を保ち、Kitでしか見られない景色をみせてくれる。モノに潜む素の美しさに共通してピントがあっていて、その眼と情を、客としていつだって信頼している。椹木さんが、歩き、人に会い、食し、仕入れ、売る。何が嫌で、何に突き動かされたかにこれほどまで純粋に商いで貫いている女性は他に知らない。いつか新潟でKit展を、そんな気持ちを持ち続けて3年越しに願いが叶った「Kitの眼」。期間中は、F/styleがKitの店舗に変わります。ワクワク、お買い物を存分に楽しんで頂けましたら幸いです。
(F/style)

F/styleの名前を知ったのは10年以上も前のこと。当時の私は書店員だった。のだが、店舗の売り場拡大に伴って雑貨部門へ移動になり、なんだかなあ...という日々を送っていた。直接の担当者では無かったが、まだ初々しい頃のエフスタイルの商品もそこに並んでいた。ところがある日「取引を辞めたい」という連絡が(!)。理由は「利益が出れば良いわけではない。ちゃんと紹介して欲しい」みたいなこと。独特なこの世界の洗礼をガツンと受けたわけだが、この出来事は前途多難なその後のプロローグとなってしまった。それから歳月が過ぎ、ごく自然かつ奇遇な縁でエフスタイルと会い、今は一緒に仕事をしている。
Kitという屋号はパーツとかセットという意味で、つまりは素材屋さんである。名前が無い、使い道が無い、誰かの哲学といった目に見え無いものも、素材として観念的に番(つが)いでいってもらえたら嬉しい。日々悩みは尽きないが、いまだにエフスタイルとの出来事はよく思い出す。どうして今こんな仕事をしているのか、二人は自分を映す鏡のように問いかけてくる存在でもあるのだ。振り返ってみると、こんな最高の素材に触れてこれたのはラッキーだった。そして、私はこういう人たちのエッセンスをキットにして売っている、というわけである。
(Kit 椹木知佳子)