EXHIBITIONS / EVENTS

2018年3月9日(金)― 3月18日(日)

かみ

11:30 - 19:00

ハタノワタル

場所:Kit 1F

ハタノさんとはクラフトフェアで会った。名刺には「創る和紙職人 ハタノワタル」と書いてあり、よく見ると作業用ヘルメットや車にもそのキャッチフレーズが貼っ付けてあった。そのとおり、当時から紙を漉くだけではなく、それに絵を描いたり、装飾加工して小物を作ったり、作品を売るための展覧会を自ら企画したりと、紙にまつわる色々をこつこつと創っていたのだ。鉱物片を含んだ砂、マコモダケの繊維、日本画の顔料、そんなものを一枚に漉き込んだ紙にすぐ惹かれた。染め紙や揉み紙なども、私にとっては初めての質感だった。

紙は古くはもっと人々の生活の中にあったという。例えば柿渋やこんにゃく糊で撥水加工して雨具にしたり、襖や障子以外にも壁や床に張ったり。そういえば紙はときどき温かい。何度も使いまわしていると起毛して手織りの綿布のようになるものもある。住居に紙を現代的に取り入れる事を提案したいと、家には顔料で黒く彩色した紙張の床の部屋が作られたが、やはり温かだった。

先日、久しぶりに工房にお邪魔した。ハタノさんは根本的に変わっていないが、使い手にとっての使い道が広がったらしく(広げた?)、絵のように見る紙、布のように敷く紙、器のように使う紙なども出来ていた。無限。強い手漉きの紙だからこそ出来る加工だ。どうにかして好きなそれを使いたいと知恵を絞るのも嬉しい手間だったりする。今でもここでは昔と変わらず新しい質感に出会うことが出来る。あれからもう十数年。家の紙張りの床は磨かれて黒革のように艶々になっていた。